2008年07月29日

ライ・クーダーとカントリー

ミュージックマガジンの8月号にライクーダーのインタビューが乗っていた。五十嵐正君がインタビュアーなので的を得た質問で面白かった。
中でもライが今回のCDのインスピレーションはホンキートンクだと断言しているのを読んで嬉しくなった。
細野君といいライといい皆カントリーが好きなんですよ.皆さんもっとカントリーを聞きましょう.特に5、60年代のカントリーを。

さてライのインタビューだがかなり専門的なので少々解説を。
まず日本のほとんどの人がホンキートンクと言う言葉の意味を知らないと思うのでカントリーミュージック・ファンが増える事を願ってそこら辺をもう少し
解説したいと思う。
ホンキートンクとはいくつかの意味があるのだがライが言っている意味のホンキートンクはカントリーミュージック,カントリーソングの事だ。ただこれは昔風の言い方で今はあまり使わなくてカントリーソングなどと言う。もう一つの意味のホンキートンクとは労働者が集まる場末のバーや安レストランの事で良くそういう所でそこでカントリーのバンドが演奏していた、いわゆるブルースで言う所のジュークジョイントと同じで、主に南部や南西部の人達がそういう場所をホンキートンクと呼んでいた。そしてもうひとつの意味はカントリースタイルのピアノの演奏スタイルの事でホンキートンクピアノと呼んでいる,これはトンクと言うピアノメーカーから来ていると言う説もあるが先に書いたバーや安酒場で演奏するラフな演奏と言う意味もある。ただ最近は安いアップライトピアノの事をそう呼ぶ人も居る。

さて今回のライのインタビューだが僕個人としては3つの点に興味を引かれた.先ず彼が聞いていたカントリー・ミュージックについて.二つ目がステイール・ギターについて.そして最後の一つがカントリーのソングライター達についてだ。

先ず最初のカントリーソングだが、彼は1947年生まれだから彼がカントリーを良く聞いていたという6才から10才の頃は1953-1960年頃になるのだが,ハンク・ウイリアムスが亡くなったのが1953年だ。その頃彼が良く聞いていたと思えるホンキートンクは多分ハンク・ウイリアムス,ハンク・スノー、レフティ・フリゼル、ウエップ・ピアーズ、レイ・プライス、ジョニー・ホートン、ジム・リーブス、ファロン・ヤング、ジョニー・キャシュと言った人達だろう。まあ当然その時代より前の人達も聞いていたと思える。また彼が育ったウエストコーストのカントリーのハンク・トンプソン、ファーリン・ファスキー,マール・トラヴィズそして60年代のバック・オーエンズ、なども当然聞いていただろう。ライの事だからこういったビッグネーム以外にもかなり渋い所を聞いていた可能性はあるし,彼が好きだと言っているインストルメンタルもジミー・ブライアントとスピーディ・ウエストを始めとしてマール・トラヴィスなどは当然聞いていたと思う。ライは以前に何曲かカントリーソングをレコーディングしているがジョニー・キャッシュのHey porter,とGet Rhythm,ハンク・スノーのYellow Roses,ジム・リーブスのHe'll have to go.彼がレコーディングした多くのブルースに比べて遥かに少ない。60年代までは完全なカントリーや白人系のルーツ・ミュージック少年(青年)だったのにどうしてだろう?いつかライに聞いてみたいテーマだ。

さて次のスティ−ル・ギターについて,メル友の紅豹さんからライがステール・ギター好きでそれもビグスビーを使っている人が好きと聞いていたが、僕の以前の日記にヤスさんが書いてくれた様にビグスビーを使っているプレーヤーのはかなり限られる。ビグスビーは確かそんなにたくさんのステ−ルギターは作ってないと思うのだが(そうですよね紅豹さん)そうなるとかなりプレーヤーも限定される,だからライが名前を挙げているジョニー・ヒューイ(Jhon Huey),ジミー・デイ(Jimmy Day)ホアキン・マーフィー(Joaquin Murphy)と言った人達は数少ないビグスビー・プレーヤーだと思う.スティール・ギターに関してはあまり詳しくないので間違っていたらヤスさん、 cnioさん紅豹さん訂正してください。先ずジョニー・ヒューイだが僕はあまりこの人の事は知らない.ハンク・トンプソンのバンドにいた事くらいしか知らない.彼のバンドだから当然ウエスタンスイングを演奏していたのだろう。ジミー・デイはレイ・プライスのチェロキー・カウボーイズで活躍した後ウイリーネルソンのバックもやっていた人でCrazy armsやheartaches by the number 他の一連のヒットで一躍人気ものになったレイプライスを陰で支えた人だ。チェロキーカウボーズにはCrazy Arms を書いたラルフ・ムーニーやドン・ヘルムスと言った素晴らしいースティールギター奏者がいたがたぶんライが聞いていた頃はジミー・デイだったのだろう。そして最後がホアキン・マーフィー(ライはこの人の名前をもじって息子につけたのでは)この人の事もあまり知らないが多分この人が最初にビグスビーにステールをオーダーしたとどこかに書いてあった.その後バド・アイザックとかいろんな人が注文をする様になったと言う事だ.Spade Cooley のバンドで演奏していたと言うからこの人もウエスタン・スイング系なのだろう確かスペードクーリーのオクラホマ・ストンプは彼だったと思う。この人はずっとカリフォルニアにいたと言うからライは生で彼を聴いたことがあるのかもしれない。

さて最後のテーマだが僕にとってはこれが一番興味があった。マール・トラヴィス、ハーレン・・ハワード、ウイリーネルソン、ジョニー・キャッシュと言った名前だ。全てカントリー界のシンガーソングライターだ。(ハーレンはワードも何枚かアルバムを出している)マール・トラヴィスはドック・ワトソンが息子にマールと名前を付けた事でも分る様にミュージシャンに彼のファンが多い。dark as the dungeon ,16-tons と言った一連の炭坑の唄で有名だがテックス・ウイリアムスと書いたSmoke Smoke Smoke that cigarets ,No Vacancyと言ったノベルティーぽいもの曲ある.彼も確かロスに住んでいたのでライは生演奏を見たことがあるのかもしれない。ハーレン・ハワードは僕の大好きなソングライターだ.前の日記のも書いたが彼は数多くのヒットソングを書いてるが僕の個人的な意見としては物語を作るのがうまい.いわゆるヒットソングだから3分間で完結しなければ行けない訳だがその話の持って行き方が凄くうまい。そしてウイリー・ネルソンだがもう今や大スターの彼がソングライターとして食うや食わずの生活をしていたなんて今の人は知らないだろうな。レイ・プライスのナイト・ライフが最初のビッグヒット.それが縁でレイのバンド、チェロキー・カウボーイズにベース・プレーヤーとして入りその後も曲を書き続けビリー・ウオーカーの"Funny How Time Slips Away" ,ファロン・ヤングの "Hello Walls" ロイ・オービソンの"Pretty Paper" パッツイ・クラインの"Crazy" とヒット曲を書き、最終的にソロ歌手としてデビューするのだが、この人の曲も発想が面白い。ジョニー・キャッシュは映画にもなっていて、もう説明のないほど有名だがライは彼の曲を2曲もレコーディングしているのでそうとう好きなのだろう。こうして見てみるとライ・クーダーの好みのソングライターは先ず詩の発想が面白くて曲がシンプルで優れたメロディーメーカーである事の様に思える。

と言う事でライも細野君も好きなカントリーミュージック.皆さ−ん.もっとカントリーを聞きましょ
posted by 麻田 at 11:41| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記